尾崎放哉

今日は個人的に敬愛している尾崎放哉について少々。
彼は明治から大正にかけての俳人。読みは「おざきほうさい」。
同時代人に種田山頭火がいる。おそらくこっちのほうが有名だろう。
俳人といっても我々が一般的に認識している
五・七・五の定型詩とは異なり、いわゆる自由律俳句で有名。
主な作品に「咳をしても一人」「素晴らしい乳房だ蚊が居る」
「肉がやせてくる太い骨である」などがある。
「……で?」というのが率直な感想だと思うが、それは正しい。
自分も吉野朔実のエッセイで初めて触れた時には大いに呆れた。
ただの一行日記じゃないか、と。
しかし何かこう、後からジワジワくるんだな。
「咳をしても一人」は孤独な静寂がなんとなく伝わってくる。
これだけの短さで孤独を表現している文章を俺は他に知らない。
かといってすべての句が味わい深いかというと、
「墓のうらに廻る」という句に関しては「あっそう」としか言えない。
天然なのか計算高いのかよく分からないそんな放哉が好きだ。
気になった方は是非とも筑摩文庫の『尾崎放哉全句集』をどうぞ。